風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(6年目その5)

『人は空気よりも経験を重視する』


 そして相変わらずの、なのは完売。(挨拶)


 まあ、例によってコミックマーケットに行っていたわけですが。
 最近は昔ほどゲームはしていないし、あまり企業のグッズそのものにも魅力を感じなくなっているので、足が遠ざかっていたのだけれど、冬はカレンダーを手に入れるため、初日に企業ブースに行くのは例年通り。ただ、ここでアレな感じの参加者発見。
 あるブースでガチャガチャイベントをやっていた(これだけでどこか判るなぁ…)のだけれど、そのイベント自体がちょっと面倒な手順を踏んでいたので、かなり時間のかかるものになっていた。当然、その間、待機列は外周で待っているわけだが、イベント自体が15時開始だったため、気温は下がり始め、おまけに日が翳ってしまい、とても寒々しい状態に。しかも16時過ぎになってから、ガチャの玉が底を突き始め、待機列後方の人たちは回せない可能性がスタッフから告知された。
 しかし、風鈴製作者はもちろん、並んでいるほとんどの人はよく訓練されているため、不満は抱きつつも、静かに待機 or 自己判断で黙って去る。だが、ここでひとりの青年(20歳くらい)がファビョった(“ファビョる”の意味が解らない人は、“キレる”と解釈してもよい)。何度もスタッフを呼びつけては大声で文句を言い、説明を求める。もちろんそんなことをしたところでガチャの玉は増えないし、青年の順番が早くなるわけではない。
 コミックマーケットのことをよく知らない人ならば、そのくらいの抗議をするのは普通ではないか、と思うだろうが、残念ながらコミックマーケットは普通の場所ではないのである。そもそも待機列を形成する時点で人数を確認することが困難なのだ。何故ならば列に並ぶ人々は三々五々バラバラに集まってくるからである。他にも多数の参加者がひしめいている中、その人数を確認する時間も場所も余裕も人員も存在しない。
 ここ数年、いわゆる一般人(重度のオタクではない人)の参加が増え、混雑に対するものや、並ぶという行為そのもの、さらには同人誌って何ですか?、などという、それまででは考えられなかったような質問やクレームが発生するようになったらしい(今回のカタログには、前回コミケ78における実話として、Pixivの絵だけスタッフに見せて、このサークルはどこか、という質問し、それに答えられないと、使えない奴、と舌打ちした参加者が掲載されている)。あくまで個人的に思っているだけだが、どうも一般社会がありとあらゆる面で親切になり過ぎていて、それが当たり前の状態になっているために、少しでも思い通りにならないことに耐えられないのだと思われる。(一応、書いておくが、これはキレやすい若者がどうこうという問題ではない)。
 最近ではゆとりという言葉はただの悪口になっているようだが、本来は、学業だけでなく日常にいたるまで、幅広く様々なことを許容され、許容されすぎたがゆえに他者との軋轢に耐えられない、あるいは軋轢を恐れないかのような振る舞いをしてしまうようになってしまった人間を、ゆとり教育になぞらえてゆとりと呼んでいたと思う。そういう意味で件の青年は明らかにゆとりであったし、見事なまでに空気が読めていなかった。何しろ周囲の参加者どころか、一緒に並んでいる友人らしい人物の迷惑顔にすら気付いていないのだ。きっとあんなことを繰り返していれば周囲の人間は離れていくだろうし、誰も彼のことをまともに相手にはしなくなる。手遅れになる前に、青年がそのことに気付けばよいのだが…。


 なお2日目は不参加。そして本日3日目は全力全壊(誤字ではない)。去年は母のことがあったので早めに切り上げていたが、今年は何の制限もなく予定を組んだ――――ら、やり過ぎた。回ったサークル数50以上。接収本およそ7kg。…重かった。配置のせいか、東も西も混んでたねー。そしてゴキブリホイホイ(渡り廊下)はまた詰まってたねー。