風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(9年目その1)

『鶏口となるも牛後となるなかれ。――――別に鶏口になれとは言っていない』


 提督が鎮守府に着任しました。これより艦隊の指揮に入ります。(挨拶)


 なんか今年はずいぶん早く入梅宣言したかと思ったら、あっという間に出梅宣言されて、7月上旬には急に暑くなって渇水が懸念され出したら、戻り梅雨でとても涼しくなり、たまに猛烈なスコール(風鈴製作者はゲリラ豪雨という言葉が適切ではないと思う)が起きたりと、予想のつき辛い空模様だったのだが、8月に入って…、具体的には8/7からだが、連日猛暑日になるという、体の弱い人には優しくない気候だ。
 そんな中、例によってコミックマーケットが開催されている。今回はやや変則的な日程・配置で行われているため、3日間全日参戦予定なのだが、とにかく過酷だ。財布の中身に過酷なのはいつものことだが、無論、もっとも問題なのは参加者の体調に、とにかく過酷な環境である。昨日も何人か車椅子で搬送される熱中症者を見かけたが、今日は、目の前で倒れて動けなくなった人2名、車椅子で運ばれている人4名、担架で搬送される人1名、台車に椅子を乗せたもので運ばれる人1名を直接見かけた。…要するに搬送用の車椅子や担架が足りていないのである。
 当然ながら熱中症の予防については、準備会側から再三に渡って呼びかけが行われている。にも関わらず多数の人間が熱中症で倒れるというのは、苛酷な環境もさることながら、自己管理の問題であるとも言えるだろう。そもそもコミックマーケットは全員が参加者である、という前提がある。つまりは体調管理は自己責任なのだ。
 準備会のサービスが不十分だ、という言い訳は通じない――――のだが、お客様気分の参加者が急増した現在、そんなふうに準備会のせいにしようとする参加者は多そうだ。少し話が逸れるが、今日も唐突に会場内で列整理をしているスタッフに「A-21ってどこですか?」という質問をしている参加者を見た。そしてスタッフが答えあぐねていると、たちまち不満そうな表情になった。断っておくが別にスタッフは基本ボランティアであって、インフォメーションのプロではない。知らないことがあってもなんらおかしくはないのだ(この場合、外周スペースの配置なので知っていて欲しいところではあるが)。面倒くさいになる前にさっさと風鈴製作者が誘導しておいたが(別に自慢しているわけではない。10年以上も参加しているのでそのくらい知っていて当たり前なのだ)、なぜ自分の行きたいサークルの場所くらい把握していないのだろう? 好きなことに対する情熱が足らないのではあるまいか。それとも誰かに頼まれただけなのだろうか。どちらにしても、どこかフワフワした印象を受ける。


 個人的観察に基づくもので、普遍的な話しではないが、熱中症で倒れている人の多くは身なりが整っていない。おそらく徹夜組みで充分な休息・睡眠が取れていないのではなかろうか。この件についても準備会は再三注意している。徹夜自体は準備会自身が禁止しながらも、黙認して列整理するという状態(なにしろ放置して深夜徘徊させていると警察から指導を受けてしまうのである)なのでなんとも言いがたいところだが、徹夜組みにはせめてそれ以上の迷惑や負担をかけないで欲しいものだ。


 ちなみに風鈴製作者は15:30現在、疲労しつつも体調は悪くない。会場内では汗だくでふくらはぎまで汗が伝うほどだったが、運動部経験のある人間は、ある程度そういったことには慣れている。世代的にも、部活中、水は飲まないもの、という指導を受けていたので、渇水に対する耐性が強いのだろう。むしろ周囲の参加者が1〜2ℓも飲み物を持ち歩いて、頻繁に飲んでいるほうが驚きだ。コミケはお小水との戦いでもあるのだが…。