風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(8年目その5)

『三人寄れば文殊の知恵、とは言うけど、所謂、烏合では意味がないどころか害悪だ』


 え、なんだって?(挨拶)


 今年は3月に入って以降、急速に暖かくなって、昨日には東京地方は早くもソメイヨシノが満開とのこと。まあウチの桜はオオシマザクラ(推定)なので、まだまったく咲いていないけど、そろそろ花開きそうな様子だ。
 去年の末からいくつかの要因で急速に円安が進み、株価が上昇している。まあこの国の株価は安倍首相率いる自民党が掲げるアベノミクスへの期待感によるもので、今のところ実体が伴っているわけではない。衆議院選以来、国会で行われた、経済に直接関わるような議決といえば、12年度補正予算と日銀人事くらいだ。日銀の新体制も3/20に発足したばかりだし、今後、実際にどうなるかは判らない。一方でアメリカは緩和政策の結果、経済指標はかなり好調なようで、あとは失業率さえ回復すれば…、というような状況のようだ。
 そんな中、EUだけがパッとしない。原因はやはり主に南ヨーロッパ各国の金融不安らしく、イタリアやスペインの国債利率は5%前後を行ったり来たりしている。
 そのイタリアでは先月、上下院議会の選挙があったが、上院ではどこの党も過半数を取れず、しかも主な政党はどこも連立を組むことに難色を示しているという。『緊縮を継続する』、『継続しない』、『国民投票を行ってEU脱退を問う』とそれぞれの主張が大きく異なることが原因なのは明らかであり、このままだと大統領権限で、議会解散→再選挙、という流れなのだが、現大統領が任期切れ間近でその権限が無効になってるらしく(イタリアでは任期切れ6ヶ月前から解散権が無効になる)、6月までそれもできない。gdgdだ。
 さらにはトルコに程近い地中海上にあるキプロスという国がやはり金融破綻寸前のようで、その救済の条件としてトロイカEU・ECB・IMFの3つを総称してこう呼ばれている)が出したのが、銀行預金そのもの(利息にではない)に税金をかけて、自己資金を調達せよ、というものだ。この前代未聞の条件に、キプロス議会は与党が全棄権、野党は総反対で賛成0で否決するというgdgdぶり。それというのも、この国の預金は半分ほどがロシア人のものらしい。つまり銀行預金に税金をかけるということは、ロシアから税金を徴発することに等しいのである。そりゃあ、ロシア側から何らかの圧力がかかっていてもおかしくはないだろう。しかしそのロシアにキプロスは融資を要請したらしいのだが、見事に断られた。gddg過ぎる…。現在3/24・5:16だが、トロイカとの話し合いで新たな税率設定(定番の富裕層から徴収して、庶民は無税方式)で合意して、今日の議会で採決する予定とのこと。
 このふたつの件から強く感じるのは、やはり本当に重要かつ危急な状況においては民主主義は正当に機能しない、ということだ。現代社会において、政治経済は複雑化し、またグローバル化したことによって、何が問題で、誰に責任があるかが非常に不透明だ。便宜上、首を挿げ替えることはできても、それで問題が解決するほど単純ではない。大して重要度が高くない場合ならそれでも取り返しがつくのだが、本当に大事なことを決めなくてはいけない場合、よく状況が掴めない状態で、好き勝手な思い込みによる大勢の人間の多数決で決めるのはとても危険だ。何が危険なのかといえば、往々にして、大事なことを大事なことだと正確に認識できないことが危険なのだ。
 上記の話で言うならば、風鈴製作者個人としてはキプロスに預金に税金をかけるように要求するのは妥当だと思う。国家の不始末に対し、国民全員で責任を取るのは当たり前だ。多くの人は、政府のせいだ、政治家のせいだ、と思うようだが、民主主義国家ならば政治家を選出しているのは国民だ。実質的に一部の富裕層・権力保有層にしか被選挙権がないとかならばともかく、普通選挙を採用している国家の国民に、責任がないなどとは言えない。ゆえにキプロスに対する要求は、救済する側であるトロイカにとっては当然の要求だ(もっともそれはキプロス政府自身が考えたように演出するのが理想的だったと思うが、やはり同国政府与党にとっては不都合だったのだろう)。しかしキプロス議会員は、国民に負担をかけるのは〜〜、とか言ってるようだ。果たして今日の議会で新たな案は可決されるのだろうか。ここまでの流れが政治的演出であることを願うばかりである。


 何もかも皆で決めれば良いわけではない。そんなこと当たり前だと思うのだが、しかし民主主義はそれを頑として認めず、選挙を絶対視して政治家を人気取りに傾倒させている。その結果として、いろいろな場面で同じ失敗を繰り返しているように見える。いつになったらそのことに気づくのだろう――――というか、かなり多くの人がそのことに気付いているのだが、声を上げようとはしない。考えている人は控えめ、なのではなく、黙っている方が都合がよいからである。


 あ、ところでこの数ヶ月の円高で大多数の日本国民はドルに対して30%ほど資産が目減りしたことに気付いているのでしょうか。円安デ海外旅行ガー、とか言ってる場合じゃないほどに大損しているのですが。