風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その334)

『一般に理想であるということは、適正であるということに近い』


 あ、そういえば月刊少年サンデーが創刊するとか。(挨拶)


 終日曇りで、寒い。ただ空気は少し乾燥に傾いたようで、天候の割りに洗濯物は乾いたようだ。
 せっかくなので3日続けて漫画の話を。
 漫画キャラにおける理想の上司は?、という質問をすると、島耕作などの元々の位置づけがサラリーマンであるキャラクタが挙がることが多いが、しかしそんな中に必ず名を連ねるのがドラゴンボールフリーザ様である。
 作中、環境の整った住みよい星を侵略し、住民を皆殺しにした上で他の宇宙人に売り払うことを生業とし(これを有限会社フリーザ不動産と称する人もいる)、部下であろうと使えない者はクビ(文字通り首が飛ぶ)、後々、反乱を起こしそうだという理由でサイヤ人を惑星ベジータごと虐殺するなど、一見、悪逆非道なフリーザ様だが、しかし、反面、究極の実力主義であることも窺える。それは必ずしも戦闘力で序列が決まっているというわけではなく、グルドの存在がそれを証明している。また漫画の悪役によくある“気に食わないから殺す”という身勝手なことは部下に対してはしていない。それどころか一般にふざけているとしか思えないギニュー特戦隊の行為にも寛容さを示している。少なくとも部下への思いやりは持ち合わせているのである。
 そんな中で唯一、従順に働いていたにも拘らず虐殺されたのがサイヤ人である。作中語られるその理由は、急速に成長を遂げるサイヤ人が将来的に徒党を組んで反逆を起こす可能性を危惧してのこと、とされていたが、客観的に見て、他にもサイヤ人を粛清しなくてはならない理由はある。何故ならサイヤ人は宇宙を漂流していた自分たちを保護し、受け入れてくれていたツフル人を、自分たちの欲望のままに滅ぼしているのである。こんな危険な連中を放置することは組織の長としてはできないだろう。しかもツフル人は科学技術に優れ、スカウターを始め、数々の貢献をしている。一応、フリーザ様がサイヤ人を全滅させることには義があるのである。


 確かにフリーザ様は残虐で、失敗=死、というのはいかにも恐怖政治的だ。しかし程度の差はあれ、任務を失敗した部下に死を持って償わせることは、過去、多くの国や地域で行われてきたことだ。いわばそんなことは価値観の差に過ぎない。過去の評価を現在の価値観で下すことに無理があること同様、現実世界の常識を空想世界で行われていることの評価に当てはめることは、必ずしも正しくない。