風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その260)

『ON/OFFの二元論が通じるのは人が創り出したものくらいだ』


 お茶立ちょ茶立ちょちゃっと立ちょ茶立ちょ。(挨拶)


 今日も寒いが昼は平年程度。冬至も近く、日の入りも早い(正確には、最も日の入りが早かったのは1週間ほど前だが)。一昨日の雨でかなりの落葉があり、落葉樹はもう彩りをほぼ失っている。
 今日は全力全開で愚痴である。
 歯医者でイタタ話続編。結論から言うと、これじゃダメだからもう1回。歯茎はちゃんと盛り上がってきていたのだが、風鈴製作者のブラッシングに問題があるのか、患部に汚れが付着したまま肉が上がってきてしまっているので、もう一度、患部を削ってやり直すとか。
 言いたいことは理解できた。ただその際、正しいブラッシングとやらを言われたのだが、これがまったく理解不能。端的に言うと、言っていることに矛盾があるのだ。前回の診察で歯全体の検査をした際に、歯茎に若干の傷があることを指摘され、最小限の力で細かくブラッシングをするようにと指導を受けたのだが、元々、風鈴製作者は歯磨きの際、ほとんど力を入れていない。頬からの圧力の方が大きいくらいだ。まあそれでも言う通りにしていたのだが、今回、助手の方が直接ブラッシングを実演してくれた(もちろん風鈴製作者の歯に)のだが、これが風鈴製作者の数倍はあろうかという力でブラシを押し付けて擦ってくる。当然のように歯茎からは血が出た。患部以外からも出た。助手氏の手にあるブラシは血に塗れてピンク色である。それでいて、これが正しい歯磨きだと主張するのだ。大した神経である。
 当たり前だが、歯茎の強さには個人差がある。一律にこれが正しいブラッシングだと言われても、とても容認できるものではない。自分の弱点を晒すようだが、風鈴製作者はあまり歯茎が強くはない。子供の頃から頻繁に歯磨き時に出血する。だがそれを伝えても、血が出るのは歯茎が腫れているからだ、ちゃんと磨き続ければそんなことにはならない、と言う助手氏。では風鈴製作者の歯茎は子供の頃から四六時中腫れているということになる。しかし今まで虫歯治療で歯科医に何度も通っているが、そんなことを指摘されたことは一度もない。むしろブラッシングはできているという評価を受けることが多かったし、こんな小さな虫歯によく気付くなぁ、とまで医師に言われる程度には歯の状態には注意を払っている。しかし、それでも助手氏は譲らない。
 どうにも助手氏は完璧を求めすぎているように思われる。医療に完全完璧などないのは素人にだって分かる。ON/OFFなどという単純な仕事でないのは明白だ。歯科医の方はその辺りは承知しているようで、ブラッシングについては譲ってくれた。が…、患部は普段通りしっかり磨いて下さいね、という台詞が飛び出した。――――そんなことは始めから言っておいて欲しい。何も言われていないのに、歯茎を切開した場所など、普段通りゴシゴシ磨く人がいるだろうか(ええ、手加減してましたとも! 触れば痛いし、血が出るし!)。


 これほど歯科医に不満を抱いたのは始めてである。風鈴製作者が極力病院に行かないのは、行くと治りが遅くなることが多い(特に怪我の場合)ことと、今回のように医師とこちらの感覚の差がなかなか埋められないからだ。一般的にも、後者のような要因からかかりつけの医師が珍重されるのだと思う……のだが、今回の歯科医は20年来のかかりつけなんだよなぁ…。