風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その239)

『上昇して下降したら同じところにいるとは限らないという道理』


 みねね様も屈折しすぎだよねぇ…。(挨拶)


 基本的に晴れだったが、夕方から小雨がパラつき、日没後、一時的に本降りとなった。気温はやや暖かめ。
 老人の体感を擬似的に知るための器具がある。主に視界を狭め、関節の可動域を狭くするといったものだが、それを使用することによって若い人に衰えた肉体を体感してもらい福祉の重要性を認識してもらうという目的のものらしい――――のだが、個人的にはそんな認識を促せるほどの効果があるとは思えない。
 若い人には肉体が衰えていくという経験が無い。以前よりも反応が鈍くなったとか、速く、あるいは長く走れなくなったという実感を得たことがないのだ。それを無しに、一足飛びに老人の体感を経験させても、それが本当のことだと思えるだろうか。何をオーバーな、と考える人が多いのではなかろうか。長い時間をかけてその経過を経験した人とそうでない人には、そのくらい断絶された境界がある。


 あくまで一般論である。その境を想像力で埋めることができる人もいるだろう。個人的にはまだ老人の感覚は解らない。自身の衰えは感じているが、まだまだ遠い感覚は否めないのだ。