風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その198)

『思うがままに行動するのは、自分ひとりだけのときに。それ以外では不利に働く可能性が高い』


 槍よ、…来い!


 夜明け頃には雨は上がり、晴れ。ただ湿度は引き継がれ、気温も少し上昇したため、やや暖かだった。
 “自分らしく”とか“個性を大事に”とかよく聞くけれど、それに基づいた行動をとりながら、他人の行動や主義とまったく競合しないことは、まずありえない。そして、人間とはどうしたって他人の行動の影響を受けることは不快でしかない。その不快をどう処理するかは本人次第だが、多くの場合は疎ましく感じてしまうのではあるまいか。そうなると、やはり多くの場合、“自分らしく”行動することは当人にとって不利に働く。


 自分らしさだとか個性だとかは、自分ひとりだけのものにすべきで、日常的に、自発的に表現するようなものではない。だが、それでも行動や言動の端々に、残滓のように香るものが“らしさ”というものだろう。