風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その112)

『ご破算というよりは単なる破滅なんだけど、とにかく全てを崩したいという願望』


 このバカ犬っ!(挨拶)


 今日も晴れて真夏日。しかし風があり、さほど暑くは感じない。夜は涼しく、湿度も低めだった。
 今日も今日とて不可解な理由で人を傷つける事件が世間を賑やかしている(正確には賑やかしているのはマスコミであって、事件そのものではないけど)。ムシャクシャしてやった、とか、注目されたかった、とか、またここ数年よく聞くようになったのは、刑務所に入れて欲しかった、死刑にして欲しい、という供述だ。基本的に先に罪を犯した人間が口にしたことの真似なのだろうから、必ずしも本人の願望とは言えないが、少なくともそれに似た衝動にかられたことには違いない。
 上記したどんな理由も、人を殺せば解決する類の問題ではない。個人的な苛立ちなど根本的に解消されるはずはないし、注目を浴びてもほんの一瞬だけですぐに忘れ去られる。刑務所に入れて欲しい、死刑にして欲しいというのは経済的、あるいは自分の社会適合性に問題があると感じているからであり、そういう状態からの脱却を望んでの言葉だと判断できる(死刑に関しては一部はその瞬間における本音の可能性もあるが)。
 犯罪を犯す、殊に人を殺すという行為が導き出す結果は社会的破滅でしかない。しかしそれこそが彼らの目的なのではあるまいか。何かに疲れ、あるいは絶望し、全てを終わらせたい、ご破算にしたい、なかったことにしたいという願望は人間の誰にも常についてまわる願望だ。そういう一種の破滅願望が人間にはあり、それを抑制しながら現実と折り合いをつけながら生きていくために、人間はある種の傲慢さや自身に対する誇りが必要なのである。


 昨今流行りの(とマスコミが主張するだけで以前から山ほどあった)ネット上の犯罪予告も、そういったご破算願望が起こさせる行動だと思う。現状では威力営業妨害罪くらいしか適用されていない(※)ため、罪が軽く、行き詰った自分に何か変革を起こしたいと考える人間が手を染めそうな犯罪だ。学生や自宅警備員が多いのが、その証拠だろう。


※威力営業妨害は間違いなく犯罪だし、書き込み方によっては脅迫罪が適用される可能性もある。そのへん、当人たちは自覚するべきだろう(これが昨日書いた思いやりというヤツだ)。