風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その95)

『金品に恵まれていることが豊かということではない』


 かたじけのうござる!(挨拶)


 暑い。朝こそ曇っていたが、すぐに晴れて真夏日となった。おまけに夕方頃には乗ろうとした路線が一時ストップし、その直後に酷い混雑に。……あ゛あ゛ぁぁーーーーッッッッ!!(心の叫び。けして顔には出さない)
 そんな満員電車の中にいたのだが、少し嫌な場面に出くわしてしまった。端的に言うと、最後に駆け込んできた男性と、ドア付近にいた女性が軽く揉み合いになっていた。どうも男性が無理に乗り込んできたことが気に食わないらしく、女性がスペースにわずかなりとも余裕があったにも拘らず奥に下がらずに抵抗したことが原因だった。その後、それ以上のことは起こらなかった(女性はしばらくブツブツと文句を呟いていたけど)が、どちらが悪いかを問うならば、どっちもどっちな出来事である。
 女性の立場で言うならば、満員電車でなるべく奥に詰めることは乗車上のマナーでもあるし、同時にそれが可能ならば何も言わずとも場所を空けるのが思いやりというものだろう。逆に男性の立場であるならば、ほんの数分待って、次の電車に乗車するくらいの余裕は持ちたいところだ。


 基本的にこの国では生きるに困ることはなくなったし、ある程度の経済的余裕はできた。しかしそれ以外の部分はいまだに貧困だと言わざるを得ない。風鈴製作者が子供の頃に、日本人は欧米人と比べ勤勉だとよく言われていた。しかし今にして思えば、勤勉というよりは金銭的に欲深く、その分、余裕や思いやりといった人間的な豊かさが軽視されていただけだ。その傾向は今でも残り続けている(少しずつ脱しつつあるが)。