風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その89)

『ふたつ以上の事象に関与することは逃避ではないが、過ぎ去った事象に回帰しようとすることはそうとも言えない』


 村田君、おめでとう。(挨拶)


 曇りで気温は25度くらいだが湿度高し。友人の結婚式の二次会に出席したのだが、一応、正装(ネクタイなし)で行ったため、非常に暑苦しかった。
 同窓会などで同級生ないしは同じ部活やサークルなど、共通の組織に属した人間同士が一同に会すると、昔に戻ったかのような振る舞いをしようとする人が多い。そういう行動のほとんどは、単に過去を懐かしむことを目的としていると思うのだが、中には昔に戻りたいという願望を発露している人間も少なからず存在している。
 もちろん古い友人と昔と同じような口調で会話できることは心地よいものだ。加えて言うならば、世間に縛られてつまらない人間になっていなければ素晴らしい。しかしどんなに過去を踏襲したようなコミュニケーションをしているように見えても、相手には過去から現在までに自分の知らない年月が存在する。そこには必ず新たに得られた特性や変化があり、それをなかったことにして完全に過去に立ち戻ることはできない。それはやはり逃避というものだろう。


 人が年月と共に変化することは不可避だ。もちろん古い友人同士が会ったときに、現在のつまらないしがらみや恨み辛みはお互いに覆い隠すべきだが、会話しながらそういう相手の“今”を読み取るのも面白いだろう。