風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その84)

『楽園を望むのも、それを破壊するのも人間だけだ』


 こんばんは。(挨拶@普通の挨拶をしたことがないことに、今気付いた)


 昨日の焼き直しのような天気。しかし夕方からの雨は一時激しくなり豪雨となった。
 ユートピアという概念がある。日本語では楽園や理想郷と訳され、多くの人が“誰もが生活に困らず穏やかで犯罪などが存在しない世界”というようなイメージするのではあるまいか(原典のユートピアはあまりそういう感じではないが)。ほぼ十割の人が一度はそういう世界を望んだことがあるだろうし、実際にはそんな世界などありえないと理解していると思う。
 前世紀においては共産主義全体主義国家がそういった世界を謳っていたが、知っての通り、その実態は理想とはかけ離れたものだった。原因は多々あるが、根本的原因は充分な富を生み出せなかったことだ。少なくとも国民の全てが過重な労働をせずとも衣食住に困らないだけの富を用意することは、理想郷における大前提だ。だが、それだけではいずれ滅ぶことに変わりはない。何故なら、衣食住に困らなくなった人間は次々に増え続けるからだ。無限に増え続ける冨などありえない。つまりいずれは全員を養う冨が足りなくなり、破綻するのである。


 生存と繁栄は生物的本能だ。それを調整できない限り、理想郷は完成しない。富めば増え、貧しければ減る。全生物中、これに自覚的に、しかも過剰に逆らうのは人間だけだ。全員で幸せになる、という理想がそうさせるのだ。他の動物はそんなことは考えない。