風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その81)

『独りで静かに泣く人は、とても優しい』


 ちょっとムキになった競売。(挨拶)


 昨日に続き、朝からずっと曇っていた。湿度はさらに高くなり、空気がまとわりつく。暑い云々よりもとにかく不快。日没前に少し雨が降り、すぐに止んだものの、深夜には再び降りだした。
 今までに何度か、泣くことは助けを求めている行為だ、と書いた。これは乳幼児を見れば分かるとおり、人間に備わった本能的行為である。しかしたまに誰もいない場所で、独りで静かに泣く人もいる。周囲に誰もいないということを認識しているのだから、当然、助けを求めているわけではない。正確には助けを求めたいのだが、何らかの理由でそれを避けようとしているのだ。その理由は多岐に渡るだろう。泣くという行為を恥と思っているのかもしれない。あるいはそういう行為をすると周囲に示しがつかないような立場なのかもしれないし、または自分を助けてくれるような人間はいないと判断しているかもしれない。いずれにしても、黙して独りで泣ける人はとても優しい人だ。


 苦境に耐え、自力で事態を乗り切ろうとする人は必ずしも強いのではない。ただ、周囲の人間を巻き添えにしたくない、拘束したくないという思考は優しいと評してよいだろう。もしかしたら周囲はそれをこそ残念、あるいは不服に感じるかもしれないが、それは別の話だ。