風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その24)

『意識も思考も肉体も、全ては脳次第』


 僕はソラへと堕ちていく。(挨拶)


 午前中から曇りで、午後になるとたまにポツポツとわずかに雨が降った。日中はずっと風が強く、時折、突風も。夜になり本格的に雨になったが、深夜に差し掛かる頃にはそれも止んだ。
 年をとると反応が鈍くなるというのが、最近、実感できるようになってきた。周囲にいる年配の方や同年代からは、まだまだそんな風になるわけがない、と呆れられるが、10年前と比べるとわずかだが確実に鈍くなっている。確かに年配の方と比較してみればその鈍化はまだまだ軽いものだが、しかし同年代からも同じように言われるのは心外である。彼らだって、風鈴製作者同様、とうに衰えが進んでいるはずの年代だ。それから目をそむけるのは逃避だし、本当に気付いていないのだとすれば、それこそ鈍いと言わざるを得ない。
 代表的な例で言うと、人ごみで対向者を避ける際に以前ほどスムーズにいかなくなっている。もちろん避け損なってぶつかったりなどしないし、傍から見れば充分スムーズに避けているとは思うが、言葉にするならば、同じ動作に要する集中力が以前よりも多い。より意識的に動作しなければならなくなっているのである。もちろん肉体的な衰えもあるが、それでも意識すれば問題ないことから、人を避けることに必要な筋力は充分に有していると判断できる。やはり問題は意識、つまり脳の反応速度なのだ。多分、このまま衰え続けると、いつかは“判っているのに避けられない”という状態になるのだろう。


 老人の筋力トレーニングが推奨されているようだが、やはり体を動かすのは脳である。機敏な身体を維持したいならば、肉体だけではなく脳も衰えさせてはならない。