風鈴製作者 空、その底辺でボソリ…(4年目その185)

『もう動かないことが死ならば、世界は死に包まれている』


 地に伏し、広がる世界を見上げた


 そこに在るのは、動くことのない空
 動いているのは大気と雲
 空はけして動かない


 自然もまた動かない


 実際には少しずつ動いてはいるけれど
 人にはそう観測される


 僕も今は動いていない


 ああ、解った
 このまま動かないことを受け入れることが、死なのだ――――。


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